運が悪い
それはそれは昔々の話である。
そこには幸せなお爺さんと不幸せなお爺さんがいました。
幸せなお爺さんは毎日が楽しく暮らしており、
「わたしゃ恵まれておるのぉ。」と涙を流しながら口に出した事があった。
一方不幸せなお爺さんは、自分が不幸せな事に気づいていませんでした。
なにか1ついい事が合った時には
「わたしゃ恵まれておるのぉ。」と涙を流しながら口に出した事があった。
そんなある日、幸せなお爺さんの元に不幸せなことがいくつも起こったのだ。
家をでかけた後に鍵をかけ忘れ、たくさんの蜂に襲われ、挙句の果てに積乱雲がやってきて雨が降ってきたのだ。
「あぁ、なんて運のない日だ。こんなに運がないなどわたしゃ恵まれておらんなぁ。」
そう言った時に
不幸せなお爺さんがやってきた。
「おぉ!田中さんじゃないかぁ!お久しぶり」
幸せなお爺さんの名前は田中 虎太郎
「おぉ!これはこれは佐藤さん!お久しぶり」
不幸せなお爺さんの名前は佐藤 光太郎
お互いは小学生の頃に出会い中学、高校と一緒に過ごしていた。
大学からは離れ離れになりそこから1度もあったことがなかった。
幸せなおじいさん「いやーまさかこんな日に出会うとは」
不幸せなお爺さん「こんな日?どんな日だったんだ。それか言葉のあやか?ワーッはっは!」
幸せなお爺さん「ワーッはっは!言葉のあやとかじゃないんだよ。聞いておくれよ。実は今日運が悪いんじゃ」
不幸せなお爺さん「運が悪い?ほぉ。どんな一日だったんだ。」
幸せなお爺さん「それが家を出ようとしたら鍵をかけ忘れて、蜂に襲われて、今こんな風に雨が降ってるんじゃよ。」
不幸せなお爺さん「………ほぉ。」
幸せなお爺さん「ほぉって運が悪いと思わんのかね。佐藤だって今服がびちょ濡れじゃないか!」
不幸せなお爺さん「んあ。そうじゃな。」「でもそれが運の悪いことなのか?」
幸せなお爺さん「当たり前じゃよ!今までびしょ濡れになったことがあるのは小さい頃雨で遊んでた時だけじゃよ。」
不幸せなお爺さん「………君は…運が悪いのぉ。」
幸せなお爺さん「そうじゃろ!運が悪いんだ!ワシは!」
不幸せなお爺さん「そして私は運がいいのぉ。」