何者

「君は何者になったんだ」

 

「僕は消防士になって人を助けました」

 

「うん。いいだろう。天国だ」

 

「君は何者になったんだ」

 

「私はアパレル店員になって色んな人に服を買ってもらいました」

 

「それから?アパレル店員になったからって君は何か変わったのか?」

 

「………変わってないのかもしれません」

 

「そうだね。はい地獄」

 

━━━━━━━━━━━━━━

 

今でも人間は生まれて死んでいく。

 

その短い人生の中で人は何者にもなれない人が沢山いる

 

例え立派な大金持ちになったとしても、その人の人格が優しい人格から醜い人格に変わったのならそれは何者にもなれていないのだ。

 

神様はプラスとマイナスで天国か地獄を見極めている

 

生きていてどれだけの人にプラスを与えたか。

 

どれだけの人をマイナスにさせたかでその人の道が決まる。

 

ちなみに僕は高卒でニート

 

やりたい事が沢山あるけど全部中途半端。

 

だから年月がどんどん過ぎていき今年で20歳。

 

お酒も飲める歳になったからお酒を飲んでみた。

 

不味かった。

 

酔った感覚を覚えた。

 

気持ち悪かった。

 

明日が早く来て欲しかった。

 

 

酔った感覚がまだ残ってて最悪な朝だ

 

今日もパソコン起動させてゲーム。隣にポテチとコーラ

 

ネッ友と一緒に愚痴を吐きながら笑っている。

 

12時間後…

 

「んじゃそろそろ終わるわっ」

 

「あっそうかもうこんな時間か。んじゃまた明日〜」

 

ネッ友がボイスチャットから消えた瞬間に今の自分の光景を目の当たりにし、深いため息を1つ

 

どうしてこうなったんだろ。

 

僕は自己肯定感がとても低く、だらしない自分を見て酷く傷ついている。が、自分からは治そうとしない。

 

というか、今までも何回か試したことがある。

 

今日は片付けよう。今日は生活を直そうと。

 

いつも口だけ。

 

そんな自分にまた嫌気をさす。

 

 

 

お笑い番組がやっていた。

 

友達2人を自分の家に連れて一緒に見ていた。

 

「こいつのギャグつまんなすぎだろ‪w‪wなんでこんなおもろくないこと言えんだよ。」

 

自分はそれよりも面白くないド底辺なのに。

 

 

 

眠るのが幸せと感じ始めた。

 

というか何も考えないのが幸せな事に気づいた。

 

だからもう永遠と寝ていたい。そう思った。

 

「はい君は地獄ね」

 

「次は?」(背中から翼が生えたお爺さんがこちらを見た)

 

「はっはい!」

 

「君は何者になったんだ」

 

「え、ええと。」(嘘でもついて誤魔化そうとしようと思ったが神様だということに気づいたので無理だと思った)

 

「ん?なんだね。早く言いなさい。君は何者になったんだね。」

 

「僕は何者でもありません。根っからのクズ人間です。毎日ポテチとコーラを飲んでゲームばかりする。どうしようも無い人間です。」

 

「ほう。そうか。かなり正直じゃのう。」「でも、お主は嘘をついていることがひとつあるぞ」

 

「うそっ?」

 

「何者でもないと言っただろ。」

 

「はい。自分は何者にもなれなかったんです」

 

「それが嘘だと言っているんだ。もし何者でもないのなら君はここにいないぞ。産んでくれた親に感謝したか?」

 

「してません。」

 

「楽しいことした友達にありがとうと伝えたか?」

 

「伝えてません。」

 

「伝えてこい。今なら間に合うぞ。」

 

「はっはい!ありがとう神様!」

 

っはぁ!はぁはぁ。

 

「なんだ夢か。」

 

よしっ。

 

ポテチにコーラを持ってパソコンを起動した。

 

「よっしゃやろか〜。」

 

プルルルルプルルルル

 

久々に電話が鳴った。お父さんからだ。

 

「もしもし?」

 

「もしもし?元気か?」

 

「え、あうん元気だよ」

 

「そっか良かったよ。……………」

 

「なんだよ急に。ん?あれ。もしもし??」

 

「…………実は今日お母さんが死んだんだ。」

 

「………え、?」

 

「丸の内病院に今いるから来てくれないか」

 

「え、あうん。行くよ」

 

信じられなかった。なんで。なんで死んでしまったのかも。頭は真っ白になり顔は青ざめながらタクシーを使って丸の内病院まで行った

 

「おかあさん……」

 

白い紙が顔に乗せられていた。

 

「神様は間に合うって…。間に合わなかったじゃないか。嘘つきじゃん。」

 

今までにない感情が初めて舞い上がってきた

 

気づいたら目からしょっぱい涙が垂れて、いつのまにか膝が地面に着いていた。

 

僕はお母さんに何もしてあげられなかった。

 

頭の中はごちゃごちゃしていて言葉がでない。

 

「どうして自分は何者にもなれないんだ(泣)」

 

明日が嫌。来ないで欲しい。でも、明日が来る

 

 

 

月日が経って、自分は30歳になった。

 

生活費とかは親からでていたので自分で稼ぐしかなかった。

 

だからバイトから初めて今はコンビニの店長になった。

 

ようやく社会人と呼ばれるようになった僕は過去の事が頭から離れなかった。

 

自分は何者でもない。

 

そう決めつけていたのは自分だった事に気づいた。

 

人は何者にでもなれる。

 

もし夢から覚めた瞬間にお母さんに電話をかけたら間に合っていたのかもしれない。

 

神様は嘘をついていたわけではない。

 

時間は命を奪う。

 

だからこそ今の自分が何者かを自分で努力して手に取り幸福を得るんだ。生きる理由は神様が教えてくれた

 

二度と永遠と寝ていたいなど思わない。

 

そう神に誓った。